招かれざる客

世の中には何がよくて何が悪いか、あるいは何が正しくて、何が正しくないか判断に困ることが多い。よかれと思って努力したことが、悪い結果を生んだり、あるいは“瓢箪から駒”さながらに思わぬことが善につながったりする。複雑な自然の仕組みに人が手を加えたとき、このようなことが起こりがちである。

トマトはなぜ赤い―生態学入門
トマトはなぜ赤い―生態学入門

日本で環境保護のために比較的安易に選択される緑化や植林などは、外来種問題や生態系の単純化などの問題を引き起こしがちである。そのため、善意で行ったはずのものが逆に非難の対象となることもあるため注意が必要である。生半可な理解では、生物多様性問題への取り組みはむずかしい。

自然再生―持続可能な生態系のために

生態種

生態種といったものの存在を意識した場合、生物の保護や移動などに関して我々の従来の態度や考え方を改めなければならないことに気がつく。

生態種の保護や保全に関して、「たとえ、ここのものはいなくなっても、別に多産地があるから大丈夫」といった考えや議論がよく行われる。しかし、滅んでいったある地域の個体群は、別の地域のものとはまったく異なる貴重な「生態種」だった可能性を考えなくてはならない。こう考えると、従来取り上げられ、憂慮されてきた種の絶滅に加えて、我々はたくさんの貴重な生態種をそれと気づかずに失ってきたのではいかと危惧される。

このように生態種を意識すれば、動植物を本来の分布地域から移動させて、他の地域に植えたり放したりすることも、無定見に行ってはならないと主張したい。

トマトはなぜ赤い―生態学入門

種というものはある一定の数以下の個体数になってしまうともう取り返しがつかない。生物学的には絶滅したのと等しいことになる。だから生き物を守るということは人が絶滅に近づいたことに気づくようになってからでは遅すぎる。

里山の自然をまもる