湖はなぜ汚れるのか

植生帯の喪失による浄化機能の低下と富栄養化は、現在、霞ヶ浦だけでなく、世界中の湖沼における重大な問題となっている。汚水や、農業でもちいられる肥料、あるいは流域での土壌侵食に由来する栄養塩が流入し、特にリンが異常に増加して富栄養化がすすんでいる湖沼が増えている。それは、制御の容易な「パイプの末端」、すなわち流入河川や下水からの流入よりはむしろ、農地や市街地からの拡散、すなわち「面源汚染」の増大による寄与が大きいと考えられている。

生態系を蘇らせる

遷移(succession)

植物群落は一見恒常性を保っているように見えるが、時間とともに変化していく。

荒地あるいは火山の噴火後などを放置しておくと、草原から陽樹林ヘ、陽樹から陰樹の森へと変化していく。自然にも若い自然と老熟した自然とがある。変化は単なる樹種の交代だけではない。

遷移が進むにつれて生産性、すなわち単位生体量当たりの生物生産は小さくなり、多様性は高くなる。

若い自然を利用するか、老熟した自然をよしとするか十分に考える必要がある。木材や農産物の利用を主とするならば、その地域は若い自然として保つ必要があり、種の多彩さや、撹乱に対する安定性を必要とするならば、自然を老熟した状態に保つ必要がある。

わが国では、森林の跡地には、まず、ススキの草原が短時日に作られる。この草原にアカマツ・カンバ・ヤナギ等陽樹の種子が飛んできて発芽し、樹林となる。これ等陽樹の種子は林床で生育できず、やがてブナ・アスナロ・モミ等の陰樹と入れかわり、安定した極相の森林ができあがる。

トマトはなぜ赤い―生態学入門

植物群落が時間とともに移り変わっていく有様

生態系を蘇らせる

生態系(ecosystem)

ある場所の生物とそれらの環境をかたちづくっている物理的要因の複合全体からなる複雑なシステム

生態系を蘇らせる

無機的自然とその地域に生活する生物が結びついて一つの系を作るという考え(Tansley,1935)

生物と無機的外界が作り出す系

トマトはなぜ赤い―生態学入門

野生生物と土壌、水、大気、太陽光の5つの要素が有機的な関係を保つことにより構成された自然のシステムのことを生態系という。

環境を守る最新知識 ビオトープネットワーク―自然生態系のしくみとその守り方

アンブレラ種(umbrella species)

広い面積を要求する種のこと。その種の保存を維持しようとすると広い面積が確保される。猛禽類(ワシやタカの仲間)や大型の哺乳類がこれにあたる。

ビオトープ型社会のかたち

息地面積要求性が大きく、生態系ピラミッドの上部に位置する食物連鎖上の高次消費者。たとえば、猛禽類オオタカ里山のアンブレラ種である。

野生生物保全技術

クマのように行動域が広く、生息に多様な環境が必要な種は、その種の保全を行うことによって、同じ域内に暮らす他の多くの生物種の生息も保証される。このような種は傘(アンブレラ)を広げて他の生物種を環境改変の雨風から守ってやれる種といった意味合いでアンブレラ種とよばれ、生態系保全のための目標種とされる。また、彼らは食べた果実の種子を糞として広い範囲にまき散らすなど多様性のある森の維持や回復にも役立っていると考えられる。

獣たちの森