外来種の猛威

人間によって意識的・無意識的に持ちこまれる外来種は、在来魚を脅かすオオクチバス、アマミノクロウサギやヤンバルクイナなどの絶滅の危機を高めているマングースなどの例からもわかるように、最近では非常に大きな脅威となって、在来の生物が絶滅にさらされる主要な原因のひとつとなっている。人為的な環境改変を受けた土地は外来種が生活するのに適しており、外来種は世界的にも猛威を振るう傾向を強めている。日本では北アメリカからもたらされたオオブタクサやセイタカアワダチソウなどが在来の植物に大きな影響を与えているが、日本の植物も、たとえばクズは北アメリカで、イタドリは英国で厄介な害草となっている。日本のワカメはオーストラリアの海域に広がり、もっとも厄介な外来種のひとつとして認識されている。

自然再生―持続可能な生態系のために

地域特産種

分布の限られた種、地域固有種などのことである。南限や北限といった特殊な分布域にあたる地域は、その種の分布拡大や後退の最前線である。そういったユニークな種を保全することで地域全体の種の多様性を維持することができる。

ビオトープ型社会のかたち

特化種

ある特別な環境でなければ生きられない種のこと。もともと少ない環境資源にたよっている種の場合、個体数も少ない。比較的個体数が多い種であってもその特殊な環境が失われると急速に個体数を減少させる。適応できる条件の範囲が極度に狭いため、その種を維持することができると、より適応条件のゆるい種も同時に維持することができる。

ビオトープ型社会のかたち

外来種の排除

復元事業の成功および回復までの時間の短縮のためには、外来種排除のための「地拵え」を徹底して実施する必要があることが明らかにされている。

わが国では、外来種が生態系におよぼす影響には関心が薄く、安易な外来牧草をもちいた斜面緑化などが広範に実施されており、そこがシードソース(生態系の植生の骨組みをつくる植物の種子供給源)となって、外来牧草が河原などにも蔓延しやすい条件がつくられている。地拵え以前の問題として、外来種の蔓延をもたらすような生物利用のあり方をみなおすことなしには、生態系の復元・機能回復にとりくむことすらむずかしい。

生態系の崩壊は、どのような場合においても、人と自然の関係の崩壊と密接に結びついてひき起こされるものである。したがって、生態系の復元においては、人と自然との関係をみなおすことを中心にすえ、技術的なことと同時に、社会的、文化的、倫理的な側面も重視しなければならない。

生態系を蘇らせる

外来種をもちいた機能回復の手法

生態的プロセスを維持あるいは回復させるために外来生物を導入する手法は、著しく劣化のすすんだ生態系において、しかも、とりうる手段が他にまったくないときにのみ許されるものであろう。外来種をもちいた機能回復の手法は、健全な生態系を部分的にでも回復させるために、生物多様性の保全という目標を犠牲にするものだからである。

生態系を蘇らせる

ダムなどによる河川の制御がもたらす影響

〇直接的影響

  • 上流側の生息・生育場所の浸水。河川生産性の喪失
  • 貯水池への外来生物の移入
  • 下流域のデルタやそのほかの場所に供給されるべき堆積物の貯留
  • 水質の悪化
  • 一次生産の変化
  • 下流の河口域やデルタの生物にとっての生息・生育場所と生産性の喪失
  • 放流される水に堆積物が含まれないことによる下流域の生産性の低下

〇ダム運用の影響(人間の水需要が水位変動を決めることにともなう影響)

  • 季節的流量変化の喪失
  • 水位・流量の年変動の喪失
  • 水位・流量の日変動の拡大

生態系を蘇らせる

生態系管理

健全な生態系を持続させるための管理(アメリカ生態学会)

短期的な利益よりも長期的な持続性の優先を旨とした管理

持続性のための森林、草原、湿原、河川、流域などの新しい管理手法

地域の生態系の望ましい特性、すなわち生物多様性や生産性の持続、あるいはそれらの回復のための活動を導く科学・技術を広くさす概念

生態系を蘇らせる

持続可能な開発(あるいは発展)

将来の世代が、彼ら自身の必要性をみたすことを損なうことなく、現世代の要求性をみたすための開発

  1. 開発が富だけでなく、人々の幸福もふくめた広い意味での必要性のために行われるべきであること
  2. 世界中の人々(世代内公平)だけでなく、後の世代の人類(世代間公平)の必要性も考慮すべきであること
  3. 増大する必要性に応じた開発を持続させても、環境がそれによって損なわれることがないような開発のあり方が存在すること
  4. その場合でも、後の世代の必要性と現世代の要求性の両立が容易ではない可能性があること

生態系を蘇らせる