植物群落(plant community)

いろいろな特性から植生に単位性をもたせたとき、そのまとまりを植物群落という。群落単位も、外観から見て、たとえば森、草原などといった極めて単純な見方から、十分な現地植生調査に基づいた種の組み合わせによる植物社会学的な単位、システム化まで、目的、対象、調査法によってさまざまなとらえ方がある。

いのちを守るドングリの森

植生(vegetation)

緑の生き物の集団を総称して、植生という。植生は、量的に最大であるだけでなく、機能的にもあらゆる生物の生存を支える極めて重要な役割を果たしている。

植生を見るとき、しばしば環境条件との関係のみで考えがちである。しかし、同時に、社会的なかかわり合いから見る必要がある。お互い競争しながら、森林の中では高木、亜高木、低木、下草と種の特性に応じてそれぞれの階層に棲み分けて群落を形成している。同時に個体間で相互にせめぎ合いながら実は共生している。植生をこのような社会的なシステムとしてみることが重要ではないか。おそらく人間社会でも、好きなものだけを集めるのは危険であろう。少々苦手な相手ともお互いに少し我慢しながら共生する。これがすべての生物の生き延びるための基本戦略であり、持続的発展の条件である。この事実を移動能力のない植物たちが命をかけて示している。

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生物圏(biosphere)

地球上のすべての生き物が生存している空間を生物圏という。人間も含めた大部分の生き物は地際に生存している。しかし、ある種の胞子や菌糸は上昇気流などによって一時的に上空1万mまで存在していることがわかっている。また、水の中(水圏)では、植物的生き物は光合成によって生きているので、生育範囲はせいぜい水深400mくらいまでであるが、動物的な生き物は、植物がつくった溶存酸素、有機物などで生きるので、水深1万mくらいまで生存していることが知られている。いずれにしても、大気圏から水圏まで含めて、せいぜい20㎞が生物の生存可能な空間、いわゆる生物圏である。

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環境

環境とは、そこに生まれ育ち生活している人間も含めたすべての動植物とその集団の生存を持続的に支えているシステム、現在の不十分な科学・技術、医学で見落とされている未知の要因も含めたトータルなシステムである。

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宮脇 昭

もともとは「主体」の存在や活動に何らかの影響を与える外界の事物や条件などをさす。何を主体と考えるかによって、その環境を構成する事物・事象、空間的な範囲などは大きく異なる。

自然再生―持続可能な生態系のために

ギャップ・ダイナミクス

台風などによって高木が倒れた孔をギャップといい、ギャップにはそれまで光の制限を受けて成長が抑えられていた耐陰性の高い高木性の木(前生樹という)や、新たに侵入してきた陽性の木などが生育する。そこをどのような樹種が構成するかは、前生樹の状態、ギャップの大きさなどによって異なり、ギャップが大きいほど陽性樹種の優占度が高くなる傾向がある。ギャップが部分的に発生して更新が繰り返されながら、林分全体としては大きな変化が見えない形で動いている状態をギャップ・ダイナミクスといい、極相といわれるものの多くはギャップ・ダイナミクスの状態で回転しているものである。

森との共生―持続可能な社会のために

森林生態系

森林の生態とは、森林生物の生活活動と、それを取り巻く環境との間に見られる様々なやり取りの現象の総称である。森林は樹木を主体とした様々な生物の集合社会であり、それを取り囲む無機的環境と生物間相互のやり取りを通じて、個体から群落までの生命活動が維持されている。これら樹木を主体とした生物社会(森林群落)における、生物と非生物的環境との間の物質とエネルギーの循環や、生物間の相互作用(生物的環境)などの動態を体系的にとらえたものを森林生態系という。森林生態系において森林の植物、動物、微生物の間には生産、消費、分解という役割分担がある。物質循環や食物連鎖などという用語はそれらを表すのによく使われる重要な用語である。

森との共生―持続可能な社会のために

ニッチ

ある種にとって生育、生息に適した場所であるハビタットの中で、種間の競争やお互いに利益を得る相利などの生物間相互作用の結果得た安定的な生息場所のことで、生態的地位と訳されている。棲み分け場所ともいう。気象が穏和で、餌が多く、隠れ場所、営巣場所の多い森林は多くの生物にとってハビタットとなるが、それらの生物は樹冠、幹、枯死木、倒木、表層土壌、林縁など様々な場所にニッチを得ている。

森との共生―持続可能な社会のために

どんな野性生物も、本来はそれが所属する自然生態系の一構成員として重要な役割をになっている。人間社会になぞらえば、個々の種の動物は、地域社会のどこかに住む特定の職業を営んで暮らす住民である。カブトムシにとって雑木林がなくなることは、家もろとも住んでいる町が消滅することと同じである。生態学においては、ある動物が自然生態系内でどんな環境に棲み、何を食べ、どんな天敵をもつかといったその種の「職業」あるいは「立場」を生態的地位(ニッチ)と呼ぶ。

里山の自然をまもる

森林

森林とは樹木を中心とした生物の集団社会である。したがって森林は樹木に特有な性質、すなわち、その大きさ、寿命の長さに強く支配される。高木性の樹種は20、30m、あるいはそれ以上の高さとなり、その林冠より下は光、温度、水などの要素において特有な環境が形成される。そのような環境に生育できる植物が林内で階層構造を形成し、それが様々な動物にハビタットニッチを提供し、森林は多様な構造と機能を有することになる。また寿命が長いということは、そのような構造と機能の変化をゆるやかに、安定的に動かせる力を有しているということである。

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