劣化した生態系に人間が手を加え、生態系を復活されること。土壌流亡を防ぐために草本類を植え、等高線に沿った耕作を行うなどの作業がこれにあたる。
戦略的環境アセスメント(StrategicEnvironmental Assessment)
環境アセスメントの一つの形態であるが、従来の手法のように個別事業ではなく、事業より早期に位置する上位計画や都市計画に対する環境アセスメントと位置づけられている。すなわち、事業に先立つ上位計画や政策などのレベルで、十分な環境情報のもとに環境への配慮を意思決定に統合するための仕組みであり、政策(Policy)、計画(Plan)およびプログラム(Program)の3つのPを対象とした影響予測評価を実施しようとする手続きである。
ビオトープのデザイン
ビオトープによる保全措置は、生物側の条件を最大限に考慮するのが本来は理想であるが、現実には保全の規模や形状、特性について多くの制約を受けることになる。そのような限られた条件の中で、ビオトープのデザインを決定する目安として、Diamon(1975年)が次のような原則を提示している。
ビオトープをデザインするときは、
- 面積は広いほうがよい
- 面積が等しい場合は、分割されているよりまとまっている
- 分割しているときは分散させない
- 線上に配列するよりも塊状に集合させる
- 不連続な空間は、生態的回廊か飛び石で連結させる
- 空間の形態はなるべく丸い
この原則を要約するならば、多種に及ぶ生物の生息が可能な、多様かつ良質な空間を「より広い面積で、より円形に近い塊状に確保し、分離しているときは近接または相互に連携させる」ことが、理想的なビオトープの形状と配置ということになる。

技術士一次試験建設部門〈2〉都市及び地方計画/建設環境
三舩 康道, 新里 達也
世界遺産
地球の生成と人類の歴史によって生み出され、過去から引き継がれた貴重な宝物。国際的に協力して守り、次世代に伝えていこうと、1972年のユネスコ総会で「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約(世界遺産条約)」が採択された。
文化、自然、複合の3種類の世界遺産があり、南アフリカ・ダーバンで開かれた第29回世界遺産委員会で24増え、総計812件となった。
このうち、自然遺産は161。地域別に見ると、アフリカ35、ヨーロッパ32、北・中米32、アジア29、南米19、オセアニア14の順となっている。
国別で、最も多く自然遺産を抱えるのは米国12(国境を越えた遺産2)。次いで、オーストラリア11、ロシア8(同1)、カナダ8(同2)、ブラジル7、英国、コンゴ、インド各5──の順。
自然遺産大国の米国だが、フロリダ半島南東にあるエバークレーズ国立公園は、周辺の都市化や農地化による生態系への悪影響などのため、93年に危機遺産に登録された。
また、アフリカにある自然遺産の4分の1は危機的状況にあると伝えられる。特に、コンゴの自然遺産5か所はすべて、地域紛争に伴う難民流入、密猟、森林伐採などのため危機遺産に登録されている。
生息条件の多次元的な把握
その生物の生活史のある段階における環境の物理・化学的諸条件にたいする要求はもちろんであるが、重要なのは、全生活史をとおしてのそのような要求のほか、生活史の各段階における食物関係、生息条件の形成・提供などの相互関係を介しての他の生物とのつながり、移動や“なわばり”形成をとおしての生息場所の空間的な大きさにたいする要求等々への配慮を意味している。
このことは、いいかえれば、自然の条件下でその生物が生活している場所の群集構造と、その群集の生活を支えている環境全体にたいする理解が必要なことを意味する。

続・水辺の環境学―再生への道をさぐる
桜井 善雄
自然再生事業(Public enterprise for prmotion of nature restration)
過去に失われた自然を積極的に取り戻すことを通じて、生態系の健全性を回復することを目的とした公共事業。2003年1月に自然再生推進法が施行され、同年3月末に自然再生基本方針が公表された。官民学が協同で、自然再生を必要としている地域の保全や復元活動を推進していく。
適応放散
ある1つの生物種がさまざまな場所に分布を拡げ、それぞれの場所に適応した形質をもったいくつもの種に分かれること
富栄養化の逆理
水域生態系において、エサ種(植物プランクトン)とハンター種(動物プランクトン)が存在するとき、エサ種が増えるとハンター種の捕食量が増し、その種の個体数が増えることによって、エサ種の個体数の増加が抑えられる。簡単な数理モデルによって個体数の変化を調べてみると、このような関係は、負のフィードバックをもたらし、両種が安定した個体数を維持するか、振幅の小さい周期的変動を繰り返す。ところが、沿岸部の人口増加などによって、水域への栄養塩の流入が増加すると、エサ種が急速に増殖するので、ハンター種が増えてエサ種の個体数を抑えるまでに時間がかかり、両種の個体数は大きな増減を繰り返すことになる。つまり、数理モデルの世界では、富栄養化が生態系を不安定化させることになる。しかし、実際の湖沼生態系での観察やフラスコのような実験生態系では、むしろ理論の予測どおりに不安定化を引き起こすことは少ない。
この事実は、モデルに組み込まれていない重要な要因が実際には存在していることを意味している。
エサ種に二つのタイプがあり、ハンター種が、それらのタイプへの攻撃を情況によって変化させることを考慮すれば、富栄養化の逆理を解決できることを見いだした。
実際、琵琶湖などの湖沼生態系では、動物プランクトンが好んで食べる小型の植物プランクトンとあまり食われない大型の植物プランクトンが存在する。そして大型植物プランクトンの成分は、窒素やリンにくらべて炭素の比率が高いので、動物プランクトンにとっては栄養価の低いエサである。このような大型植物プランクトンはあまり食われないので、食物連鎖系のエサ生物として脇役的存在といえるだろう。
間接効果
2種間の相互作用の様相が第3種の作用によって変化することをさす。このため、間接効果は3種以上からなる相互作用系に特有の効果なのである。2種間の直接的な関係とは異なり、間接効果は相互作用のネットワークを通して、多数の種に波及する。自然界では複数の種によって生物群集が成り立っているので、間接効果は相互作用のネットワーク構造に決定的な役割を果たすと考えられる。

生物多様性科学のすすめ―生態学からのアプローチ
大串 隆之
BOD(生物学的酸素要求量)
水中の微生物が有機物を分解する際、呼吸により酸素を消費する。BODは、微生物が、1リットル当たりの水に含まれる有機物を分解するのに必要な酸素量。BODの値が大きいほど水中の有機物が多い。コイ、フナなどの下流域の生きものの生息に適したBODの値は5mg/リットル以下であり、アユなどの中流域に生息する生きものに適した値は、3mg/リットル以下、イワナやヤマメなど上流域の生きものの生息に適した値は2mg/リットル以下である。